2015年01月29日 (Thu)

 ■夜間救急
昨日こんなニュースがネット上に取り上げられていましたこちら
ここに書かれていることだけを取り上げると「とんでもない医者」となります。
しかし、ここに至る原因があったと思われます。
深夜の救急医療はぎりぎりの人員で行われています。
この時期ですから、インフルエンザのお子さんでごった返していたかもしれません。
そんな中、明らかに緊急性がないお子さんが来られたら「とりあえず今夜は様子を見て、明日小児科で診てもらってください」と言うこともあろうかと思います。
ましてや救急担当の医師が小児科専門でなければ、その判断は極めて妥当でしょう。
夜間救急は昼間の診療と全く違います。
そこですべての診断は付きません。
できる検査も限られています。
一番の目的は「一晩様子を見ることができるのか、それとも緊急を要する病気なのか」と見極めることです。
この観点から言うと、インフルエンザは救急対象疾患ではありません。
インフルエンザを一晩見たから、それだけで重症化することがないからです(ただし、インフルエンザに伴うけいれんは話は別です)。
だから、とある救急施設では夜間にインフルエンザの検査を行っていないと聞いたことがあります。

話を戻します。
今回のことは、言葉の理解に伴うトラブルも重なったのでしょう。
どんなことがあっても、やはり患者さんに「死ね」との言葉を発してはいけません。
しかし、深夜に他の小児科を紹介しろと要求した(とネット上で書かれています)患者側にも少なからず問題があった気がします。
小児科が専門ではないものの「一晩様子を見ていい」との担当医の言葉を信じて、それに従ってもよかったのではないでしょうか?

今回のことにコメントするかどうか一晩考えましたが、夜間救急の現場を知っていただきたくてあえて今日の日記に書かせていただきました。

皆さんの忌憚のないご意見をお聞かせください。

..01/29(Thu) 12:6 (162)

▼真空管マニア 
>一番の目的は「一晩様子を見ることができるのか、それとも緊急を要する病気なのか」と見極めること

その通りです。
現実、私の地域(高崎市、安中市、富岡市、藤岡市という広域です)では、7〜8年前から夜間小児輪番医制がとられ、この広い地域で夜間診療を行っている小児機関は毎晩一つだけです。その現場の小児科医の皆さんは、この考え方での診療になっています。

私もこの制度が始まった時は、必要最小限での検査(ほとんどレントゲンも血液検査もしません)、1日だけの投薬、これでは小児専門医にわざわざ夜間に来院する意味はないのではと私も考えました。しかし、夜間救急の現場は、あくまでトリアージなんです。レッドにはレッドの医療、イエローにはイエローの医療、グリーンにはグリーンの医療を行います。通常のインフルエンザ(脳症、肺炎を除く)では、間違いなくグリーンです。その認識がない親御さんが苦情を言われるようです。

親御さんが悪い良いの問題ではなく、皆さんが認識していただきたいと考えています。
..01/29(Thu) 15:51 (163)

▼真空管マニア 
非医療人の方には、この言葉はどう受け止められるか少し心配ですが、、、。
夜間の小児救急外来では、「明日の朝(通常の診療時間)まで、この患者さんが命に関わるほどの重症化しないと判断すれば、必要最低限の医療行為に止める」 が原則のようです。
極端な例では、翌日にかかりつけ医に受診して(すべての方に受診をするように話されています)、その方が肺炎であっても、中耳炎であっても、昨夜の時点で生命に関わらない状況であったなら、その判断は良しとしているのです。
そんなことないんじゃないか、肺炎なら肺炎ができるだけ早くわかって、早く治療すれば、良いに決まっているじゃないかと言われると思います。しかし、それをしてしまうと、肺炎であるかどうかを確認するために、レントゲン検査や血液検査をする機会が格段に増えていきます。明らかに低酸素状態で、呼吸音が減弱して、ぐったりして全身状態が悪化している場合は、レッドカード、つまり、血液検査やレントゲン検査をして入院加療を検討します。しかし、咳があるけど酸素濃度は保たれている、朝までは元気でいられそうな状況であれば、レントゲン検査も血液検査もしません。イエローカードレベルでは、解熱剤を渡して、明日の通常診療時間に再診してもらいます。その再診ではおそらく肺炎があるのか?という疑念があれば、レントゲン検査や血液検査を行うと思います。
長々と書き込みましたが、小児科医の皆さんは、今やほんとうに少数の大切な社会資源です。その限りある資源をみなさんでどう使用するか(この言い方は、小児科医の皆さんに失礼か、、)だと考えています。
..01/29(Thu) 16:6 (164)

▼真空管マニア 
もっとシンプルに言うと、夜間救急小児医療行為と、通常時間帯の小児医療行為は、全く別物であるということです。
そうしなければ、夜間のレッドカードの子供達を助けることはできない現状(小児科医数の減少、そして疲弊)があるということです。
..01/29(Thu) 16:10 (165)

▼a.ba-ba 
とても良くわかります。
親は(おばあちゃんは)診療時間外に具合の悪くなった我が子が心配で、朝までほっといて大丈夫なのか 今の症状をすこしでも軽減して欲しいと
..01/29(Thu) 21:30 (166)

▼a.ba-ba 
駆けつけてしまうわけですから。
..01/29(Thu) 21:31 (167)

▼真空管マニア 
救急現場(被災現場)でのトリアージをする際、おそらく対象者(患者さん)への心理的フォローをしている余裕がないのが現状と思います(しかし、人として当たり前ですができるだけの心使いはします)。
夜間の小児救急の現場は、小児科医が通常レベルの心使いをしていても、親御さんの心配の度合いが強く(おそらく夜間で、他の医療機関がやっていないとか、不安材料が多い)、いつもの言葉がけでは理解していただけない場合があります。
しかし、その理解をしていただくための時間で、次の患者さんを診療できるという現実も現場の小児科医たちには突きつけられています。時間との勝負であることは、小児科医たちは百も承知なんです。だから、トリアージをします。その判断が非情と言われても、せざるを得ない現状があります。
お互い、理解しあうしかないのではないでしょうか。そして、受診する方々もお互い様の心を持つ必要があります。
..01/29(Thu) 21:50 (168)

▼a.ba-ba 
それでもやはり昼間の診察と同じ感覚のかたもいらっしゃると思います。
これを言ったら現場の先生方には酷かもしれないけれど、それを説明する、納得してもらう努力がある程度は必要だと思います。
芦田先生のようにお話しの上手なかたばかりではないでしょうから、そういった点を誤解のないよう説明したチラシなりポスターなりを置くとか配るとか。
既になさっておられるかもしれませんが。

..01/29(Thu) 21:55 (169)

▼真空管マニア 
おそらく、その説明するエネルギーも削がれるほどの、過酷な現場だと推察しています。
医学は未だ発展途上であり、100%の診断治療がなされていません。現状は40〜50%の正解率でしかありません。その正解との溝を埋めるべく、医療人は細心の注意を払って挑み続けています。しかし、携わる医療人は100%完璧なマシーンではありません。
ここも、やはり同じ人同士の「お互い様」という考えが必要なのではないでしょうか。
こんなこと言うと驚かれるでしょうが、現代医学でさえ、youtubeの「もしも(病気が)悪かったら、この責任をどう取るんだ」と言われても、確実な責任が取れるわけではないという状況であり、患者さんがこういう言葉を発する発想自体が、実は、医療の現場をご存知ないとしか言えないのです。
残念ながら、労災や公害という事故性のものでない限り、その病気になられたのもその方の責任であり、医療機関での不確実性の高い(それが普通なんです)医療行為を承諾された時点で、その方の責任なんです。知らなかったでは済まされないはずなんです。知る権利をしっかりと行使しなかった問題もあるのです。
..01/29(Thu) 23:35 (170)

▼所長 
おはようございます。
お二人の方、ご意見ありがとうございました。
また後ほど私の意見を述べさせていただきます。

他の方々もぜひぜひご意見をいただきたく思います。
..01/30(Fri) 8:39 (171)

▼yna 
私こと、芦田先生と同年代の男性、医療従事者に非ず、です。  今回の件、「深夜救急医療現場の問題」からは論点が外れますがひとこと・・・・。

今回の出来事は、上記先生方が言われるように、色々な問題点を孕んでいるにもかかわらず、メディアのスタンスは、お決まりの「医師・医療機関を悪者に仕立て上げることで、読者に阿る・ウケを狙う・溜飲を下げさせる。」域を出ていないように感じます。もしかしたら、その後のフォローアップもなく、「書きっぱなし」で終わってしまうかもしれません。
だからこそ、日頃は温厚な?芦田先生も、(言葉を選びながら)取り上げずにはいられなかったのではないでしょうか?

今回の出来事の一部が、某動画サイトにアップされたことによって明らかになった点があるように、メディアの不勉強・いい加減さ・偏狭さも動画サイトによって明らかにされつつあるように思います。
全面的に医療関係者サイドの肩を持つわけではありませんが、患者サイドも「メディアの言うことを鵜呑みにせず、本質(今回ならば、上記の先生方が提起された問題点)を理解する」姿勢が重要なのではないでしょうか?
..01/31(Sat) 9:21 (174)

▼所長 
真空管マニアさん
医療側の意見を代表して述べていただき、ありがとうございました。
私達医療者の多くは自己犠牲の精神を持って医療に取り組んでいます。
特に救急に携わる人たちは、気持ちの中のその比率が高い人立ちだと感じています。
そんな気持ちを持って救急医療に取り組んでいる人たちに対して、できれば患者さんにもその気持ちをくんでほしいですよね。
だからマニアさんの書いておられた「お互い様」の気持ちはとても大事だと思います。
そして、できれば患者さんから救急医療に携わるスタッフに対して「ありがとう」と伝えてほしいです。
その一言があれば、救急の現場で働く人たちのモチベーションが保たれるのです。
..01/31(Sat) 16:8 (175)

▼所長 
a.ba-baさん
ご意見をいただき、ありがとうございました。
小さなこどもは、なぜか夜間や休日前に具合が悪くなります。
そのような状況が、保護者(あるいは祖父母)の不安感をさらに駆り立てるのでしょう。
その事情はよくわかります。
おっしゃられているように、医療側の人間がその不安感を理解しそれを解消するように努力する事は必要だと思います。
ただごった返している時にそこまでの余裕が生まれない事も事実です。
となるとどうすればいいのでしょうか。
私は常日頃から救急医療と日常の診療の違いを親御さんによくお話しします。
その内容は、まさしく真空管マニアさんがおっしゃっている事です。
高熱を出しているこどもを目の前にして「救急はトリアージをする場所です」(この事自体は正解だと私も思っています)と言われても、親御さん(や祖父母)は納得できないでしょう。
でも普段ちょっとしたかぜでかかった時にこのようなお話をすると、冷静に理解していただけます。
それを繰り返していって、少しずつでも救急医療への理解を広げていく事も大事だと思っています。
そういう意味では、今回皆さんにご意見をいただけた事はとても有意義だったのではないでしょうか?
..01/31(Sat) 16:23 (176)

▼所長 
ynaさん
本当におっしゃられている通りです。
マスコミの報道は常にある意図を持ってなされていると、私は思っています。
同じ出来事でも切り口によって、全く違う物になってしまいます。
「医者、医療機関を悪者に仕立てる」構図は、従来から繰り返されてきました。
確かにどう見ても医者、医療機関側に責任があるケースもあります。
しかし、冷静に判断すれば医者側に責任がないと思われるケースも多々あります。
福島県立大野病院の産婦人科医が逮捕されたケースなどはこれに当てはまります。
予防接種に関係した事故なども同じです。
何らかのトラブルが発生した時は新聞の1面で報道されます。
しかし、予防接種の効果について1面報道された事は過去にまずありません。
あるいは、何らかの理由で予防接種の積極的接種勧奨を差し控えた時は大きく報道するのに、それが再開された時は報道されないかされたとしてもとても小さな扱いです。
だから、いまだに日本脳炎の予防接種が中止されていると思っている人がたくさんおられるのです。
結局、マスコミは「売れてなんぼ」の世界です。
その事をみんなが理解した上でいろいろな報道に接していかないと、結局損害を被るのは自分たちになってしまいます。
そしてその時マスコミは何の責任も取ってくれません。
ynaさんのように、冷静な判断をしてくださる方が今後増える事を切に願います。

..01/31(Sat) 16:45 (177)

▼真空管マニア 
日々の診療の中で、このお話を患者さんにした経験がありませんでした。
患者さんは、なぜ、この医者はその話をするんだろうと思うでしょうね。
意外に思われれば、印象(記憶)が残るかもしれません。
私も心がけてみます。
..01/31(Sat) 22:12 (178)

▼所長 
真空管マニアさん
医療側、患者側、その両方が努力し、さらにいい関係を築いていかなくてはなりません。
そのいい例が兵庫県立柏原病院でしょうこちら県立柏原病院の小児科を守る会。
このような活動が日本全体に広まる事を期待します。
そして私達も努力を続けていきましょう。
..02/01(Sun) 6:41 (179)











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